大地は血を飽食し、空は炎に焦がされる。
人は皆、剣を持って滅ぼし尽くし、息ある者は一人たりとも残さない。 ―― この永劫に続く 超えるためなら総て焼き尽くしても構わない。
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1945年、5月1日……ドイツ。
陥落するベルリンにあって、ある儀式を行っている者たちがいた。 彼らにとって戦争に敗北することなど些事であり、むしろそれによって生じる夥しい犠牲者たちを、儀式の触媒として生贄に捧げようとしていた。 その試みが成功したのか失敗したのか、誰にも分からない。 彼らは終戦後、行方をくらまし、生きているのか死んでいるのか、 そもそもそんな者たちが本当に存在したのか、やはり誰も分からないまま、噂だけが広がっていく。 聖槍十三騎士団――ナチスドイツの闇が生んだ超人たち。 彼らはいずれ戻ってくる。 そして61年の歳月が流れた。
2006年……日本。 季節は秋から冬に――クリスマスを間近に控えた12月。 半身をもがれたような喪失感を覚えつつも、退院した蓮は司狼のいない新たな日常を構築し直そうと思っていた。 しかし、それすらも崩れ去る。 夜毎見る断頭台の夢。 常識を超えた不条理が街を覆い、侵食していく。 変わらなければ、生きられない。 加速度的に狂っていく世界の中、蓮は独り、日常と非日常の境界線を踏み越える。 何も大層なことを望んでいるわけじゃない。 悲壮な決意を期する胸に、司狼の声が木霊する。 この街に住んでいたら、遅かれ早かれどいつもこいつも気が狂う――と。 聖槍十三騎士団との戦い。
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