F-2支援戦闘機

 まず最初にお約束ですが……公式の情報は、三菱重工業株式会社名古屋航空宇宙システム製作所(http://www.mhi.co.jp/nasw/products/seihin/f-2.html)のホームページ等をご覧ください。また、性能等の詳細は他にも様々なホームページで解説されていますので、ここでは割愛します。

 群青企画当初と、もっとも大きく立場が変わったのが、このF-2です。
  時には一機で数十億円もする高価な商品である航空機は、通常、数年でその評価が一変することはまずありません。移り変わりの激しいコンピュータの世界に慣れた身としては時に呆れたくなるほどですが、最新鋭の技術が投入されているにもかかわらず、十年前の雑誌の記事が充分に資料として使えるのが、航空機の不思議な点でもあります。
  だのに……よりにもよってF-2だけは、群青の開発期間中に、その評価が一変してしまいました。2004年8月、突如防衛庁は「F-2は高価格なわりに性能が不足している」として調達中止を発表したのです(泣)。
  これはもちろん、ゲーム開発が遅れた我々が全て悪いのですが、あと一年、せめて半年早く発表してくれていたら……そう願うのは我が儘でしょうか(苦笑)。我々がゲームの企画を立ち上げていた頃、航空雑誌には、「F-2が130機の調達を終えたら、F-4EJ改の代替機と次期FX策定までのつなぎとして更に調達を進める可能性もある(F-15の後継機(FX)は常識的にはJSF(F-35)でしょうが、多少時間が開いてしまうため)」などといいった私的な展望記事も載るほど、F-2はまだ将来性ある戦闘機だったのです。

 というわけで、群青の世界では、F-2は未だにスーパー戦闘機です。
  勿論計画どおり130機調達しており、飛行教導隊などにも配備されています。またこの世界ではタンカー用の船殻を利用した仮装空母が海自に就役しており、(巡航速度がとても遅いため専守防衛から逸脱しないものとされて国会審議を通過し、DDH-145にかわり調達されています。ゲーム中にはほとんど出てきません)艦載型の開発なども噂されているような状況です。

 現実のF-2は、調達中止の事実が指し示すように不具合の多い戦闘機(正しくは支援戦闘機と表記すべきでしょうが)のようです。それまで流れていたネガティブな噂話がほぼ事実だったというのはとても残念です。やむを得ない成り行きだったとはいえ、政治に翻弄されての日米共同開発がその開発においてあまりに重い足枷になった事は想像に難しくありません。
  また、F-16は傑作機ではありますが、個人的には軽量・高機動の単発機は贅肉を削り落として仕上げてあり、抜本的な追加改良には向かないのでは、という気がします。ベースとして機体に余裕のあるF/A-18を選ばなかったのは何故なのか(むろんもっと高価になる可能性が高かったからでしょうが)……どうせ失敗するならせめて自主開発しておけば諦めもついたのに、というのが正直な感想です。
  そもそも、航空自衛隊の規模で戦闘機と支援戦闘機という二機種を採用していたのは、爆撃任務を安価な二線級の機体に任せるという、Hi-Lowミックスの思想がその背景にあるからです(事実、F-1は安価です)。それが不可能であると判った時点で、多用途戦闘機を一機種調達する方向へと転換すべきよい機会だったのではないでしょうか。具体的には多少高価でもF-2のかわりにF-15Eストライクイーグルを調達し、全飛行隊をF-15で統一した方が合理的であったと思われます。

  ……もっとも、F-2開発が決まった当時は、アメリカの横槍に腹を立てて、どうして自主開発で押し切らなかったんだと憤った自分が偉そうに言えたものではありませんが。

 文責・早狩武志

 

 
       

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