■ 群青企画、関係者には筑波研究学園都市に縁のある人がけっこう居ます。自分もその一人です。
  実家を離れて就職し、はじめて勤めたのが筑波の某検査センターでした。その太い道路と、高速道路なみの朝の車のスピード。そして一階が巨大な駐車場になっている飲み屋に驚いたものです。あきらかに周囲とは異質の……ひょっとしたら国内の変な都市ランキングにけっこうな順位で入りそうな街が、筑波学園都市でした。
  この企画が決まり、久しぶりにまた筑波へと行ってきましたが、……変わっているようで、あんまり変わっていないなぁ、というのが正直な感想でした。道路が太いのも相変わらずだし(当たり前ですが)、敷地が広すぎて外から見ているとあまりやる気の感じられない筑波大学……政府系の研究施設も、ほとんどが昔のままでした。
  いつかこの街を使って、物語を書いてやる! というあの頃の誓いが、まさかこんな形で果たされるとは思いませんでしたが……実際の筑波を知っている方は、現実との一致点と、物語の中の架空の部分を比較して楽しんでみても面白いと思います。
  あの時、もし関西文化学術研究都市(けいはんな)に就職していたら……この物語で、独立しているのは関東ではなく関西だったかもしれません(笑・もっとも、グリペンが飛ばせる道路が無さそうなのがネックですが)。
                                                         (早狩)

■ 初回特典の小冊子、実は早狩もそのアイディアを提案した一人でした。
  そのウラには勿論、本編で報われないキャラクターを主にした小説を書く、という密かな野望があったのですが……
『早狩さん早狩さん、小冊子に文字を期待しているユーザーなんて居ません』
  そーかよ! チクショウ! 俺の小説なんて誰も読まねーよ!  ……と、あっさり却下され、泣きながら座談会の原稿をまとめました。

 座談会自体は声優様お二人の軽快なトークに彩られた楽しい内容でした(楽しみにしてください)。ですが、原稿におこそうと後から音声を聞いて……思わず頭を抱えました。
『誰、この妙な声で喋ってる嫌な奴……』
  勿論自分でした(苦笑)。声優さんなどと違い、マイクを通した自分の声を聞いたのは初めてだったのですが……ショックでした。なんかこう、耳障りな嫌な声で……思わず、話し方教室とか行こうか、と考えてしまうほどでした。
  他にも、兵器解説(というかもはやネタ話)を書き、舞台解説の地図を作成したりもしました。個人的にはマスターアップより大変でした。
  まぁ、それはそれで楽しかったんですけどね。

  ……絶対に、リベンジしてやる。
                                                         (早狩)

■ 今回のゲーム、取材は主に自衛隊関係の施設・イベントでおこないました。
  大手出版社の名前を出せば恐ろしいほど厚遇してくれるらしい自衛隊広報部も、この手のゲームが取材申請をしても……まぁ、アレなわけです(苦笑)。ですので、自力で日程を調べたり、招待券を入手して、各種イベントに参加してきました。
  ちなみに、自分は小火器趣味はあまり無く……知りたいのは、各駐屯地の弾薬の備蓄数とか、砲弾の賞味期限(食べるな)などでしたが、隊員の皆様はにっこりと笑って当然のように答えてくれませんでした。
  実際、戦争するとなると細かい性能差より、どれくらいの期間、戦っていられるかが何より重要なわけで、群青開発中にもっとも知りたかったのはその点でした……もし現役の空自隊員の方がここを読んでいたら、こっそり教えてください。各基地に何トンの航空機用燃料が備蓄してあるのか……絶対誰にも言いませんから。ゲームの中で使うだけで(笑)。
                                                         (早狩)

 
嬉々として自衛隊装備を構える黒鷲氏

■ 夏休みも終わり、……収録も無事ほぼ終わりました。

 今回、収録の終わった声優の皆さんに、簡単なご感想・コメントを頂戴しているのですが(おそらく特典として収録されるか、ユーザー登録すると聞けると思います)、そこで皆さんの感想に多くあるのが……
『日頃口にしない、難しい台詞が多くて大変でした』
  うぁー! やっぱりかぁ! もうお約束なのかぁ! という感じでコメントを聞く度に頭を抱えていました。
(他のコメントは内緒・聞いてからのお楽しみ、ってことで。皆様から有り難いお言葉をいただいています)
  そりゃ普通のゲームで、英語の管制用語まくし立てたり、軍隊口調で語ったりしないもんなぁ。

 もっとも、声優さんにご苦労をかけたのは、専門用語ばかりではなかったようです。
  一つは、キャラクター達がゲーム内で演じるお芝居、チェーホフの『かもめ』の台詞です。長台詞の多い芝居なので、声優さんは大変だったようです。もちろん、編集してつなげる事だって出来るのですけど……皆様、声優のプライドにかけてきっちりと語られましたから。プロの技にシビレました。
  ……でも、著作権の問題で(チェーホフの著作権は切れてるけど、日本語訳の著作権はまだ切れていないので)自分も必死になって英語版等を参考に台詞を作ったので、許してください。

 もう一つは、……やっぱりこの手のゲーム特有のアダルトなシーンでしょうか。
  基本的に今回のゲームはリアリティある恋愛を目指してシナリオを書いています。学園生活という日常と、戦時という非日常の中で生まれる恋愛がテーマなわけですが……明日をも知れぬ二人の恋、という設定を生かして、場合によっては結構激しい行為もしています。
  年上相手の場合はまぁ、アレなんですけど(笑・プレイすれば判る)、年下相手には特に激しかったりもします。自分は、少女であるほど恥じらいという感情は薄い(数年前までは父親と一緒にお風呂入ったりしているわけですから)のではないだろうか。売春はだから彼女がまだ少女である証明であり、非難されるべきは全面的に金を払う男だ、という論者なのですが(ゴメン、話逸れた)、その理屈からむしろアダルトなシーンでは年下キャラの方が無茶してます。無知ゆえの勢い、みたいなのが欲しかったので。
  これに関しては、隠しキャラも含め(こんな事書いていいのか?)年下系のキャラを担当した声優さんにはとても感謝しています。難解な台詞は少ない(多い子も居ますが)んですけどね。

 そして、収録中、もっとも嬉しかったのは、某女性声優さんからいただいた、『はじめて、プライベートで遊んでみたいと思ったゲームです』というお言葉でした。
  勿論、お世辞が混じっているだろうとは承知ですけど……でも、シナリオライターとして本気で幸せでした。
  声優の皆様、ありがとうございました。
                                                         (早狩)


ハァハァする鈴木隆史一尉(画:安玖深 音様)

■ ただいま、収録真っ最中です。早狩も、可能な限り立ち会うようにしています。
  今回の声優さんは皆さん、女性陣は何故か揃って可愛らしい方が多く、もし自分が単なるファンだったら、ハァハァな状況なのでしょうが……書いたシナリオを読まれる立場となると、これはもう、かなりアレです。
「うぁぁぁぁぁぁ……長くて難解な台詞多くてスミマセン! しかも間違ってるし!」
  友人が、目の前で俺の文章を読み上げたら即座に殴りますが、声優さんに読まれる場合は何故かその手の恥ずかしさはありません。ただし、文章のミスがあった時の気まずさといったら……しかもそれを声優さんのテクニックで読まれてしまった時の悔しさといったら……もう、生まれてきてゴメンなさい、って感じです。
  また、当然ですが軍事用語が多く、普通のゲームでは出てこないような台詞が結構あり女性声優さんには苦労をかけてしまってます。しかも航空機との会話は当然英語台詞です。シナリオは自分が辞書と資料を首っ引きで調べて書きましたが、発音となると……自分と音声ディレクターとlight担当者の三人で、一つの単語の読み方に頭を悩ませる始末です。
(いえ、大半は声優さんが事前に調べてきてくださっているので、自分らの取り越し苦労に終わるのですが)
  そんな感じで、今回のゲーム、声はなかなか……凄いよい感じです。……バカヤロウ、萌えゲーなんかに負けるかよ。ユーザーが萌えるのは正当な楽しみ方だけど、クリエーターが萌えに頼るようになったら単なる無能者の手抜きなんだよ(ゴメン、これ読んだ人はスルーして(笑))。
  なお、男性声優のエロゲにあるまじき豪華さは……名前はまぁ、アレですけど、元アニメの制作進行だったlight担当者が小躍りして喜ぶくらいなので、期待してもらっていいです。かわりに予算はもう……ハァ、俺には仕事もう、来ないかもなぁ(苦笑)。
                                                         (早狩)


現場の緊張感が伝わってくるではないか(画:榊原 ゆい様)

■ 2004年某日、私は東へ向かう車内にいた。茨城県の百里基地に向かうためである。朝6時に三鷹を出発、三郷付近で黒鷲氏と落ち合った。朝の常磐道は、空いていた。この分だと8時には千代田石岡ICに着くだろう。しかし、空はどんより曇っている。予報でも一時雨が降るであろうと言っていた。せっかくサンダーバーズが来日しているのにフライト出来なかったら嫌だねぇ、などと呑気で期待感あふれる車内の会話。この時はまだ、先に待ち受ける地獄の行軍など知る由も無かった…
 異変に気づいたのは石岡IC付近に差し掛かったときである。まだ出口4km手前でありながら側道に車列が延々と続いている。
「これはもしや石岡ICで降りる車の列であろうか」
 先を見る限りずっと続く車の列は、ただの故障や休憩中などでは決して、無い。無理やりその列に割り込んでじっと待ってみることにした。やはりIC出口で降りる列である。しかし一向に前へ進まない。ここはゲート3〜4の小さなICである。そしてこの車の数。じりじりと焦り始める。しかし、このままだと開始時間には間に合わないけど昼前には着いたらいいなぁ、などとまだ余裕の会話。そしてようやく高速道路を降りることができ、一般道に出た。
 高速からの渋滞は、一般道に下りても続いていた。いや、続いていたどころではなかった。しばらく走行してすぐ理解したのだが、この渋滞は、
 「 百里基地まで続いているッ、この百里基地へ続く40kmほどある国道、県道、すべて車が連なっているッッ。」
 ここからはひたすら耐えた。この先で待つ楽園を夢見て耐え抜いた。愛して止まない2座のクーペが、今は恨めしい。しかもマニュアル車だ。車列の中にまぎれて、百里行きのシャトルバスを発見した。通勤時のようなぎゅうぎゅうの満員状態である。その光景に少し心が和んだ。人の不幸は楽しいものだ。あれに比べればこちらの方がまだマシかもしれない。後に聞いた噂では、到着まで最長7時間くらいかかったらしい。
 と、昼頃ものすごい豪雨が。さすがに疲れて道路沿いのカレー屋で昼食をとっていたのだが、出発しようと10Mほど先に駐車してある車に戻るのも数分ためらった程の豪雨だ。これではもはやバーズやブルーは飛ばないだろう。
 結局、午後1時過ぎても道程の3/5くらいしか進めず、このまま行っても着くのは終了時間になってしまうであろうと判断し、やむなく引き返すことにした。苦渋の決断だ。バイクで1人向かい、無事たどり着いたと某氏から連絡が着た。どしゃぶりの雨の中、往生するがいい。こうして、結局朝6時から8時間かけて、カレーを食いに行ってきたのであった。
 後日、早狩氏曰く、
 「航空祭に車で行く馬鹿はいませんよ。」
 むうぅ。
                                                         (Chu.β)

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