尊藤由紀は海の側の小さな街で平凡に暮らす少年だった。
ある日、由紀は夢を見る。動物まみれのヘンテコな世界『おとぎの国』にいる夢だった。
そこで出会った可愛い少女は、由紀に抱きつき「やっと会えた」と喜ぶ。
夢から覚めるとなぜか隣にはその少女が。おまけに彼女は、由紀が十年前に亡くした大好きな犬の『しろ』だと言い張るのだ。『おとぎの国』でずっと由紀に会える日を待っていたのだと。
いや、あり得ない。そんなことが起きるはずがない。
けれど、あっさりそれを信じる幼なじみの姫花、先輩で『喫茶マナ』の看板娘の愛鈴、そして『おとぎの国』からしろが心配でやって来たというアウロラをまじえて、由紀の平凡な暮らしは変化していく。
『おとぎの国』と現実。二つの世界で繰り広げる、ちょっぴり不思議なハートフルストーリィ。
しろ
Shiro
CV：木村あやか
■キャラクター紹介
10年前に死んだはずの犬の「しろ」だと主張する美少女。「おとぎの国」で10年、由紀に会いたいと思い詰めていた一途なわんこ。待て！ができないのは犬の時と一緒で、お散歩と遊ぶのが大好きで由紀といれば幸せ。世界で一番、由紀の笑顔が好き。無邪気で人なっこい甘えん坊。
橘 姫花
Tachibana Himeka
CV：浅野ゆず
■キャラクター紹介
由紀のお隣さんで、ずっと一緒に過ごしてきた幼なじみの女の子。両親が海外赴任中で、由紀の家でご飯を食べている家族同然のおつきあい。優しく前向きな明るい女の子。ちょっとドジ。動物好きで由紀が飼っていたしろも可愛がっていた。セントバーナードのべーちゃん（本名ベートーベン）の飼主。
アウロラ
Aurora
CV：青山ゆかり
■キャラクター紹介
『おとぎの国』の下っ端管理者だという、女の子の姿にもなれる黒猫。しろが大好きで、心配でつい現実世界に入り浸る羽目になる。マナに居候中で愛鈴の絶大な愛情を受けている。冷たいことを言いながらもなんだかんだで面倒みちゃうツンデレさん。
吾妻 愛鈴
Azuma Airi
CV：有栖川みや美
■キャラクター紹介
『喫茶マナ』の跡継ぎで看板娘。由紀達の一つ先輩。おっとり優しい綺麗なお姉さんで動物好き。特に猫が好きなのに相手にしてもらえない残念な人。人気は高いが、男女交際より猫を愛でることに関心が向いていて『難攻不落の美女』と呼ばれている。母子家庭で父親は既に逝去している。
菅生 茉莉花
Sugou Marika
CV：美月
■キャラクター紹介
商店街の一角にある「凄寿司」の看板娘。
由紀たちのクラスメートであり友人。
気っぷがよく冗談もいける、ムードメーカーな女の子。
本郷 将一
Hongou Shouichi
CV：深川緑
■キャラクター紹介
由紀の幼なじみで、自他ともに認めるお調子者。
その女好きな性格で泣きを見ることも多いが、本人は全く気にしてないらしい。
真舟 詠美
Mahune Eimi
CV：水崎来夢
■キャラクター紹介
由紀たちの担任の教師。
話せる性格の大人だが、授業中の居眠りは厳格に取り締まる。一時期は歌手を目指し、地元の音大に進んだらしい。
蛇姫様
Hebihime
CV：水霧けいと
■キャラクター紹介
人間に対して冷たい態度を取る、蛇と人の二つの姿を持つお姫様。その心の奧には、昔の「ある出来事」があるようで……？
尊藤 由紀
Takatou Yuki
CV：皇帝（パートボイス）
■キャラクター紹介
ごく普通の男子学生で特技は動物に好かれることくらい。
幼い頃に犬を飼っていたが、その「しろ」が死んでからはペットを飼うことを止めている。
人付き合いも積極的ではないが現在の仲間達とは楽しくつるんでいる。
ぼやきながらも面倒見が良かったりと、底抜けのお人好し属性あり。
しろはずっと待っていた。
しろがいるのは『おとぎの国』と言われる場所。
天国に近い、動物ばかりいる不思議な場所だ。
しろはどうやら死んでしまってここに来たらしい。
そこでしろはずっと、飼い主の由紀が迎えに来るのを待っていた。
時折、『おとぎの国』には自分が愛したペットを迎えに来る飼い主がいるからだ。
何十年も待っている動物がいるから、しろも待っていた、ずっと。
心をこめて、願いをこめて
大好きな由紀に会えますようにと。
大好きな由紀が元気で笑顔で、会いに来てくれますようにと。
まいにち、まいにち、ずっと、ずっと……
そして十年が経ち……
『おとぎの国』はしろの願いを叶える。
『おとぎの国』は奇蹟を起こす。
大好きな由紀に逢えたのだ。
犬だったしろが人間の姿になっていて、すぐには気付いてもらえなかったけれど。
しろには由紀が大きくなっても、すぐ由紀だとわかった。
大好きで大切な由紀に逢えたのだから。
そしてしろは由紀とまた暮らせることになったのだ。
少女の姿のままで──
十年、愛犬を忘れなかった少年と、十年飼い主を忘れなかった元犬の少女。
そんな二人と、二人を囲む人々との不思議な物語。
──『おとぎの国』へようこそ！
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