郁子 「え〜ん〜〜めんどくさいよ〜〜」
由香里「おや、郁子様、どうしたのですか?」
郁子 「とうとう我々の許にも質問攻めの魔の手が迫ってきました…。住民の皆様は至急お逃げ下さい。繰り返します…住民のみなさまは……」
由香里「抑揚のない声で何を仰っているのですか?」
郁子 「あーーん、どうして私がこんな事しなくちゃいけないのよぉーー!」
由香里「何か頼まれごとでも?」
郁子 「毎度おなじみなインタビューコーナーを押しつけられた……」
由香里「まあ、それは良いじゃないですか。みなさんで持ち回りなんですし」
郁子 「でもめんどくさい〜」
由香里「さあさあ、あまり時間は掛けませんから、早く行いましょう」



―――フォルテシモではどんな仕事をしていますか?
由香里「私は、本店のフロアの統括及びマネジメント全般ですが…。あとは、郁子お嬢様の補佐をしております」
郁子 「わたしは、宮川グループの会長様なのよー。仕事は、え〜と…」
由香里「郁子お嬢様はまだお若いですし、そういった理由で対処出来ない事を私が引き受けて行っています」
郁子 「そうそう、ユカリンがいなくなったらフォルテシモは大変な事になっちゃうのよね」
由香里「それは……誠に恐縮です」
郁子 「わたし、な〜んにもしなくて済むから楽チンなの〜」
由香里「…………」



―――フォルテシモのオススメ料理は?
郁子 「え〜っと…………何かあったっけ、ユカリン?」
由香里「当店オリジナルのロースカツ定食ですね。厳選された米国産豚肉と、独自に開発したおろしソースが好評で、最もオーダーの多いメニューとなっております」
郁子 「あらら〜、それは初めて知ったわ
由香里「……お嬢様、それはちょっと嘆かわしい事ですよ」
郁子 「いや〜、それがてっきり全部がオススメなんだとばかり…」
由香里「お嬢様、少しはお店の事にも詳しくなっていただきませんと」
郁子 「まあまあまあまあ! それはもういいから次に行きましょ!」



―――Correttoについてはどう思いますか?
由香里「Correttoさんは、近在の競合店ですからね。全く侮れない相手ですし、油断はできません」
郁子 「あんな所”へ”でもないわよ」
由香里「郁子様、女の子がそんな言葉遣いをしてはいけません」
郁子 「はやくダーリンを瑞葉の魔の手から奪い返さなくっちゃ!!」
由香里「そんなことでは、好きな男の子も嫌がってしまいますよ」
郁子 「いやー! それだけはイヤーーー!!
由香里「少しは貞淑という物を身につけて頂きませんと。……もう手遅れのような気もしますが…」



―――フォルテシモで働くにはどうしたら良いのですか?
郁子 「”フォルテシモで一発当てて、夢はラスベガスに本社ビル”と書いた応募書類をもって、私に跪くのよ」
由香里「そこまでしなくても構いませんが、贅沢を言わなければ採用の口はありますよ」
郁子 「無駄飯食いは要らないから、そのつもりでね」
由香里「でも能力に応じて賃金は支払われますので、そんなに心配は要りません」
郁子 「最初は丁稚奉公から始めるんだっけ?」
由香里「いつの時代の話をしているんですか。とりあえず厨房担当でしたら、年齢にかかわらず見習いから始めて頂きます」
郁子 「それじゃ、よそとあんまり変わらないんじゃない?」
由香里「変わらなくていいんですよ」
郁子 「何か目立った事をしてみたいのよ。ウチでも何かやろうよ、一芸入社とか」
由香里「その必要はありません。この業界は常に実力本位ですから」
郁子 「ううううう……耳が痛い……」



―――フォルテシモに猫耳メイドはいますか?
郁子 「いたっけ、ユカリン?」
由香里「まさか、いませんよ」
郁子 「じゃあ、今度雇ってみよ〜っと」
由香里「……いったい、どこにいると言うんですか?」
郁子 「捨て猫を拾ってきて改造すればいいのよ」
由香里「エセSFじゃないんですから、空想的な考えはやめましょう」
郁子 「家政婦紹介所とか」
由香里「絶対にいないと思います」



―――超能力は使えますか?
由香里「そんな物は使えません」
郁子 「えっ、アレは違うの? 一度に10人分のお客さんの注文を受けたり、しゃもじを投げて必ず元のおひつに入れたり…」
由香里「お嬢様、あれは超能力ではありませんよ。慣れというものです」
郁子 「すごいわ……。ユカリンは超人だったのね〜」
由香里「郁子お嬢様も、お店に出てマジメに働いていればあの程度はすぐ出来るようになります」
郁子 「あいたたた……。次行きましょう」



―――制服狩りに遭った事はありますか?
由香里「…なっ、何ですか、それは!?」
郁子 「いやらしい質問ね〜。『君の噂は聞いているよ。前の学校ではずいぶん○○部で活躍したそうじゃないか』ってやつ?」
由香里「なんでそんな事を知っているんですか?」
郁子 「いやほら、だってすぐ近くだし」
由香里「近く?」
郁子 「ま、まあ、それは置いといて、ユカリンにはボーイフレンドとかいないの?」
由香里「いえ、そんな人は…………」
郁子 「あっ、今の間はちょっとあやしいなあ〜〜
由香里「な、何でもありませんっ! 忙しくて男性の相手をしている暇なんて……」
郁子 「はあ〜〜」
由香里「……何もお嬢様がため息を吐かなくても」
郁子 「サユリン(※)もユカリンも、そのうち行かず後家になっちゃうわよ」
由香里「いっ、いいんですっ。今はお店の方が大事ですから」
  (※由香里の姉、沙由理のこと。オフィスでの職務が主で、あまり人前には出ない)



―――将来の夢は何ですか?
由香里「そうですね…。やはりフォルテシモの安泰と繁栄を……って所ですかね」
郁子 「さっすがユカリン! あんたはエライ!! でも、自分の事はいいの?」
由香里「お店の発展が私の幸せでもありますから。ですから、私自身の事はいいんですよ」
郁子 「う〜〜ん、前時代的だけど、感動的だわ〜〜」
由香里「いえ、それほどでも…」
郁子 「でもねえ、お客さんの中にも結構ユカリンのファンっているのよ。『由香里さん、今日はいないんですか?』って訊いてくるお客もたまにいるし」
由香里「えっ! ………ま、まさかそんな…」
郁子 「あっ、ユカリンてば今嬉しそうな顔した!」
由香里「いっ、いえっ! いや、まさか……きっと何かの間違いですよ。きっと」
郁子 「そうかな〜? そうかなぁ〜?」
由香里「だって、私には特定の男性とお知り合いになることなんて、全くありませんから…」
郁子 「オチが付きそうにないので本日のインタビューはおひらき! また次の機会にお会いしましょう!」




・・・・・二カ所のレストランで貴男の性欲食欲を満たしてくれる『ドキドキしすたぁパラダイス』は2003年2月発売予定です。




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