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ばりばりと落雷に引き裂かれ、根こそぎ倒れる大木に引かれる形で緩くなった地盤も崩れた。土砂の波にクラウディアが声もなく呑み込まれていく。

ヴィルヘルム ……馬鹿が

トロくせえ女だと腹の中で罵ったが、追う気もなければ助ける気も起きない。都合上、そうするべきだと分かっちゃいたが、そんな気分にゃなれねえんだよ。
なぜって? 前にも言ったよな。融合型は思考が乱雑になるんだよ。
術を喚起し、戦意を纏い、己の渇望を自覚すればするほどに。

ヘルガ ヴィル、ヴィル、わたしの愛しいヴィルヘルム……

俺の中に流れる闇の賜物キッス・インザ・ダーク――薔薇の魔性がすべてを吸い殺せと言っているんだ。

ヘルガ あなたをアイしてるのよオォ――わたし以外の女はいらないでしょうォォ!
ヴィルヘルム ほざけや淫売、てめえもしょせん俺の餌だ

あのとき同様、ズタズタになるまで抱いてやるからありったけの血を寄越せ。ここに形を成し、具現しろ。

ヴィルヘルム 形成イェツラー――
ヘルガ うふふ、ひひひひ……きゃはハハハハハハハハハハハ―――!

狂った女の金切り声にも似た音を立て、俺の牙たる血の茨が現れた。さながら発芽するかのように、全身から無数の杭が生えてくる。
これが俺だ。黒円卓の第四位、ヴィルヘルム・エーレンブルグ=カズィクル・ベイ。ヴラド・ツェペシュの血と融合した、地上唯一の吸血鬼。
そして当然、ここでこの状態に入ったのは伊達や酔狂なんかじゃねえ。そうするに足る現実が目の前にあるからで、すなわちカチンの怪異が発生している。
豪雨に泥濘化した足場が波打ち、こちらも発芽を思わせる光景が具現していた。ちょいと想像すりゃ分かるだろうが、地面から生えてくる手っていうのは花に似ている。
それが一面、見渡す限りの大地を埋め尽くし群生していた。グロテスクで悪趣味だが、咲き乱れると表現して構わねえ状況だろう。
加えてもちろん、この花はこれだけじゃ終わらねえ。
腕が、肩が、そして頭が、胴体が――ぼこぼこと沸き立つように次から次へと現れやがる。半ば白骨化し、全身の穴という穴から泥と蟲を滴らせながら立ち上がっていく屍たち。

ヴィルヘルム 不細工どもが

べたべたの定番すぎて、もはや哀れみすら覚えたぜ。同じ死者の軍勢でも、ハイドリヒ卿の帝国とはあらゆる意味で比較にならねえ。
これが俺らの未来だとでも言いたいなら、侮辱するにも程がある。

ヴィルヘルム てめえら、ヴァルハラに行けると思うな

ここで残らず、屑のように粉砕してやる。永遠に何処へも辿り着けない間抜けとして、枯れ落ち死骸を晒すがいい。

ヴィルヘルム ぶち壊してやるよォ!