これは、いまより未来のおはなしです。
黄色かったソルのお日さまは、どんどん赤く色あせていきますし、
青いシリウスも黄ばみがすすんでいくいっぽうです。
もともと赤かったペテルギウスなんて、今ではあとかたもありません。
空いっぱいにあった星たちは、すこしずつですが灯を消しはじめ、
宇宙のけしきはちょっとさびしいものになっていました。
これはそんな、ずうっとずうっと未来のおはなしなのです。
そんな、さびしくなった星ぞらを、1せきのこわれた宇宙船がとんでいました。
船の名まえは、サン=テグジュペリ号。
こわれてからずいぶんたっていたので、もう《人間》(マンカインド)はひとりもいません。
今では、かわりに高等ロボット(チャペック)たちが、作業機械(セーバーハーゲン)といっしょにくらしていました。
そんなある日のこと、高等ロボット(チャペック)たちは宇宙船の奥で、たいへんなものを見つけてしまったのです。
それは――、
きっと、宇宙でたったひとつ、最後にのこった
《人間》(マンカインド)入りの冬眠ポッド(カプセル)でした。
名前は、イチヒコ。
男の子です。