R-ヒナギクもイチヒコも、ほかの子たちも、みんなけむにまかれたような気になっていましたが先生はだいじなことを言ったのだ――と、それはちゃんとわかりました。
『どうだいじなのか』までは、まだわかっていませんでしたけれど……。
「イチヒコ、とくにきみは、この『きもち』が必要だろう。いつか先生のおしえたことが役にたつかもしれない」
「うん、わかったよ……」
イチヒコは、あまりよくわかってないまま『わかったよ』と返事をしました。
ほんとうはR-コバトムギ先生は『今日おしえたことは、将来イチヒコのおおきなじゃまになるかもしれない(むしろその可能性が高い)』とも思っていたのですが、そのことはないしょにしておきました。
「それでは、今日の授業はおしまいにする。各自、家にお帰りなさい」