「なつく、というのはね、王子さま。『きずなをむすぶこと』なのですよ」
「あなたはまだ、ぼくにとって、ほかの10万人のひとたちとかわらない、そのへんの男の子だ。
あなたにとっても、ぼくはほかの10万匹とおなじ、そのへんのきつね」
「いまは、ぼくは王子さまがいなくてもいい。王子さまはきつねがいなくてもいい。でも――」
「王子さまが、もしぼくをなつかせたら、
ぼくたちはおたがいに『なくてはならない存在』になるのです。
王子さまはぼくにとって、世界でただひとりの人になる。
王子さまにとっても、ぼくは世界でただいっぴきのきつねになる……」
そして、きつねは言いました。
「おねがいです、王子さま。どうか、ぼくをなつかせてください」
(サン=テグジュペリ「Le Petit Prince」)