「みずうみ」

 
   
 水着の身体を、水がつたわって落ちていく。

 きらきら光って、まぶしくて、心臓はずっと、どきどきしてた。

「ふふっ、あははははっ」
「うわっ!? やめろって、ヒナ。水、かけんなよ」
「あははは、ばーか」

《湖》――。
  正式名称は“A・サリンジャー氏寄贈レイク・リゾート(緊急時の水源を兼用)”。
  僕らはそこで、水をかけあったり、ボールを投げたりして遊んでた。

 空はいつもとおんなじはずなのに、なぜか《世界》はきらきら光って見える。

 とくに、ヒナが笑うと、まぶしくて……。

 楽しいのに、息がつまってしまいそうだ――。