「みんなにかくれて、ひとりですること」

 
   
 僕がのぞきこむと、そこでは――、

「ぎゃあっ!!!? いいいいいいいいイチヒコ! なんで、見てるのよ! だまって人んち、のぞかないでよ!」
  ヒナが、台所でこっそりポップコーンを食べていた。
  もりもりとみっともなく、ほっぺたをぱんぱんにして頬ばって。

「とにかく、見るなあっ! ばかばかばかぁっ! あっち、向いてろ!」

 ヒナはポップコーンを食べるところを見られると、いつもひどく恥ずかしがってた。(こんなみっともない顔じゃ、それもしかたがないことだけど……)

「わかったよ。ほら、むこう向いたよ。これでいいだろ?」
「音も、聞いてんじゃないわよ! もうちょっと、まってなさい! いま、機械とめるから!」
 あわててポップコーン機のスイッチを切って、ぽんぽんとはじける音もじきに止まった。