「ヒナギク」

 
   
「イチヒコ、つかまって……」
「うん……わかった……」

虹色の星空の中で、僕はヒナに抱き上げられた。
 ヒナの声と、ヒナのうで。
 こいつがいっしょにいてくれるなら、
 僕は、だいたい・・・・こわくない……。

「空気うすい・・・から、肺パンクしないように口すこし開けて、ゆっくり
息吐いて……。目は開けて……でも、開けすぎないで……。
それと――」

 それと――。

「しっかりつかまってて」

 最後のだけは、言われなくてもやっていた。