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やっぱり、無理矢理男子トイレの個室に連れ込んだのはまずかったかもしれない。 いま叫ばれたら、警察沙汰だな。 呆気にとられる僕の前で、高らかに宣言すると、彼女は突然勢いよくドアを開けた。 |
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高らかな声を聞きながら、僕は仰向けになり、ぐったりと波間に漂った。 どうしてこうなるんだよ…… あいつも勝手なこといいやがって……別にいいけどさぁ…… ワイヤーで、何か縛り付けてあるんだな。 「だいたい判ったぞ。多分、重しをつけて沈められてるだけ……ちょっと待て!」 痛っ!僕が、岸壁をよじ登ろうとすると……そこには、仁王立ちの彼女が居た。 「あんた、まさかこのまま大人しく上がれると思ってんじゃないでしょうねぇ……まさかそんな、ねぇ」 最初っから、許す気なんかないだろ!岸壁沿いに左右に泳いでも、どこまでもしつこく彼女は追いかけてくる。 |
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なにっ! ど、どうすりゃいいんだ! 小さく、耳元で榎木田が囁いた。 柔らかい…… 僕は慌てて、ギュッと目をつぶった。 ……頭上から響いた声が、その全てを終わりにした。 |
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![]() まぁ、たまにはこういうのもアリか。 帰路は、浜川崎経由で戻ればいいことだし。 「なんかすっごい久しぶりじゃない? こうやって、普通に海で遊ぶの」 美潮が、僕たちと居ない場所で何をしているかなんて知る筈がない。当然のように聞かれても困る。 「でも、妙な具合に焼けちゃってるからちょっと恥ずかしかったけど、似たような人、他にも結構居るわね」 僕も榎木田も、毎日着ているウェットスーツのせいで、腕も足も中途半端な位置から焼けている。 「みたいね。……ほら、ドブ臭くない海ってやっぱりいいわよね」 上機嫌で手を振る榎木田から、僕はたまらず視線を逸らした。 なのに……榎木田の水着姿は、やけに眩しかった。 それに、こんなに細かったか? こいつ。 |
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