Cosmology

時計機構(ホロロギウム)

 実体を掴めないほど巨大な、全世界の科学技術を管理する謎の組織。
その歴史は古く、正確な年代は不明だが、世界が自然への畏敬よりも"科学"という神を頂くようになった時代には既に存在していたことが確認されている。
新法則の発見から実用化、普及までを時計の如く正確なスケジュールで管理し、また維持し続けていることからその名で呼ばれている。

 その実体はもはや一つの仕組み(システム)であり、大国や小国問わず、果ては民間の街工場にまでその意思は及んでいる。
本拠地と呼ばれるものは存在せず、科学信仰に根付いた研究機関の超巨大複合体と、それを管理運用する法(ルール)によって成り立っている、姿無き歯車。
その情報統制力ゆえに、終生自らが時計機構に属していたと知らぬまま生涯を終える人間も多く、表側に技術が露呈することを何よりも忌避している。

 人間が科学への夢や願いを持つ限り存在し続ける隣人であり、同時に科学という社会構成基盤をその手に握っている支配者という、異なる二つの側面を持つ。
実質、その特性から時計機構を消滅させるのは不可能に近い。
有用な仕組み(システム)は生き残り続ける。仮にこの時計機構が消滅したとしても、再び似たような仕組み(システム)の組織が自然と構築され、
管理運営されていくことだろう。
人類の歴史が、科学と共に在る限り。

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