ホーム > サポート > light製品のアクティベーション廃止について

light製品のアクティベーション廃止について──株式会社Greenwood代表取締役・服部道知インタビュー

●もはやアクティベーションに正義は無い
──何故今、アクティベーションを廃止するのでしょうか。

服部:この所ずっと、アクティベーションをつけることに関しては、疑問を感じていました。しかし一度ユーザーさんとやるという約束をした以上は、続けようと考えてきました。廃止に至ったきっかけとしては、実は親しくしている人が新規のゲームブランド立ち上げの準備をしているんです。その人にアクティベーションをつけるかの相談を受けた時に、自分の返答はやめたほうがいい、だったんですね。昔業界全体としてアクティベーションをかけて正規ユーザーさんを保護しよう、という話が上がった時は僕も賛同してかけることにしました。しかし現在の状況ではユーザーさんにとって、アクティベーションをかけることによるデメリットの方が大きいから、かけない方がいいと話したんです。
 実は、自分がそう答えたことがショックだったんですよ。彼に話すために改めて考えると、自分にとってアクティベーションは人に勧められない物になっていたんだなと。会社としての利益云々ではなく、作品のファンのことを考えれば、今はかけないほうがいい。そして人に勧められないのであれば、lightのユーザーさんに対してもそうするべきだと考えました。

──非正規ユーザー対策としてのアクティベーションの効果についてはどう考えていますか。

服部:うちとして一番重視しているのは、正規ユーザーの証であるということなんです。購入頂いて、メーカーが認める大事なユーザーさんですということです。もちろん、アクティベーションにはコピー対策という面もあります。ですが現状では、アクティベーションのコピー対策における実効性はあまりないと考えています。アクティベーションの有無に関わらず、コピーする人はするし、しない人はしない。自分が面白いと感じて、価値のあるものにはお金を払うと考えてくださるユーザーさんは製品を買ってくれるんです。アクティベーションは「うちのソフトはフリーウェアではありません」という意思表示のために実装していた部分が大きいんです。実は売上という面で言えば、アクティベーションをかけることはマイナスに働くんです。

──今後は対策技術によるイタチごっこよりも、どうユーザー側の意識やメーカーとの関係を変えていくかを重視するということでしょうか。

服部:そうですね。それが一番大事だと思っています。コピーガードとしてのアクティベーションはいずれ穴を見つけられてしまうので、実態としては中古販売対策のようになっていました。中古売買については難しい部分もありますが、これまでユーザーさんがしてきた楽しみ方のひとつを阻害する要素に、アクティベーションがなっていた面もあります。それでも続けてきたのは、一度やりますとユーザーさんに約束した以上、一定の期間方針を変えずに続けて、効果や影響について実証すべきだと考えたからです。作品作品でぶれるのではなく、ある程度の期間は決まったやり方でやるのが、うちの方針となっています。

──国内海外を問わず、共有ソフト等による不正なやり取りに対する摘発が強化されていますが、非正規ユーザーは減っていますか?

服部:いえ、全く減っていないと思います。他のメーカーさんにも話を聞くと、パッチのダウンロードや、アクティベーションキーの公開などで実プレイしているユーザー数は把握できるんです。ある調査では、実プレイ人数が実売数の7倍というデータもあります。フリーライドの比率は、注目度の高い大作ほど増える傾向にありますね。

──不正な手段でのフリーライドは、長い目で見れば業界を殺して新作が遊べなくなるわけですよね。

服部:そうですね。今業界は二極化していて、売れている作品とその他の作品の差がはっきり出てきています。かつては日本的道徳が確かにあったと思うんですが、経済的利益を全てに優先する風潮がそういった道徳を破壊してしまっているのか、不正ユーザーは残念ながら増えているのではないでしょうか。海外ではより状況は深刻で、台湾や韓国などではデータがサーバー上にあるオンラインゲームしか作れない状況になっています。日本ではまだ、お客さんとの信頼関係でなんとかパッケージゲームを制作できる状況にあるんです。ストーリー性の高い作品は、オンラインゲームには向かないものなので。

──ユーザーの意識を変える、という意味での施策はありますか?

服部:昨年からlightポイントというものを導入しています。購入することでもらえるポイントを、イベントや郵送などでグッズと交換できるというものですね。お客さんあってのメーカーなので、正規のユーザーさんを大事にしていきたいので。それから萌えゲーアワードというものがありまして、購入者のユニークIDで作品に投票することができるんですが、これも購入した人に楽しみを提供する一環ですね。やはりゲームメーカーとしては一番大事なのは中身なんですよ。ユーザーさんが購入したことに満足して、正規ユーザーであることに誇りを持ってもらえる作品を作っていかなければと考えています。

──アクティベーションの正規ユーザーとの関係構築としての機能は、ユーザー登録等で代替していく?

服部:そうです。次に出る『Zero Infinity -Devil of Maxwell-』から、ユーザー登録関連での施策は増やしていくつもりです。アクティベーションの廃止を決めたばかりなので、具体的な内容に関してはしばらくお待ち下さい。ぜひユーザーさんの意見も聞きたいですね。

──過去作品に既に実装されているアクティベーションに対してはどのように対応しますか?

服部:現在解除していないものは全部外します。それぐらいでないと、本気であるとわかってもらえないと思いますので。5月末を目処に、ログインページ上にアクティベーション解除パッチを置く予定です。

──最後にユーザーへのメッセージをお願いします。

服部:現状では、アクティベーションはユーザーさんのためのものになっていないので、廃止を決めました。今後正規ユーザーさんにどのようにメリットや満足感を提供して関係性を作っていくか、またグッズやサービスなどどのような展開をしていくかについても、ユーザーさんのご意見を頂ければと思います。今後もlightをよろしくお願いします。