R-ヒナギクは、となりにいたイチヒコと目を見あわせました。なぜなら、その授業のいみがまるで理解できなかったからです。いいえ、先生の言っているいみそのものが、よくわかりませんでした。
「石ころ? どんなやつよ?」
「どんなやつでもいい。ただし、ひとりにつき一個だけだ。しょくんは1時間かけて石ころをひとつひろわなければいけないんだ」
「石ころなんて、そこいらじゅうに落ちているのに? ひとりいっこなんて言わず、なんこだってひろってこれるわよ」
「だったら、かんたんだろう?『一個だけ』選んでひろってくるんだ」
R-ヒナギクもイチヒコも、もちろんほかの子供たちも、ふしぎに思ってはいましたが――ですが、だからといって、さからうような理由もないので、みんな先生の言うとおりにしました。
「さあ、先生はそのあたりで見ているから、みんな石ころをひろいなさい」
「はあい……」