そこは山の中腹、木々のひらけた草原。
湿った風にのって運ばれる草の匂いが、体の内側から俺を満たしていく。
瑠華「あそこ。見てごらんなさい」
瑠華先輩が簡潔に示した指の先、そこには人の姿があった。
九十九「……紗久良、せん……ぱい?」
風にたなびく草むらの中、紗久良先輩は術服を着て凛と佇んでいる。
直立不動のまま、静かに正面を見据え、口元は厳しく閉じられたまま。
両手に持つのは、細長い棒だった。紗久良先輩の身長より長いだろう。あんな形の棒、見たことが無い。
角材ではない。ちょうど、手に握りこめるくらいの太さで、丸みを帯びていた。
紗久良「…………」
瑠華「…………」
九十九「…………」
紗久良先輩の周りは、時が止まったように深閑としている。
彼女が見据える先には、なにもない。だが、先輩の意識はその何も無い空間に、収束しているようだった。
不意に、傍らの瑠華先輩が囁く。
瑠華「来るわよ。息、殺しなさい」
九十九「え……?」
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