宙斗 「こ、こういうときがあっても悪くないと思うんだ」

しずく 「……もう大人だから?」

宙斗 「そう。大人だから」

勇気を振りしぼったのは、しずねぇが先なのか俺の方が先なのか。
……しずねぇの方だろうな。
SOSのメールをもらってから、しばらくぶりに再会した幼なじみのお姉ちゃん。
昔からときどき感じることはあって、でも俺はあんまり意識しないようにしてきた。
なぜなら俺たちは本当の姉弟みたいに育ってきた幼なじみだったから。

しずく 「宙斗の背、いつのまにか同じくらいだね」

宙斗 「そこはさ、わたしより大きくなってたじゃない?」

しずく 「わたしもそう言いたかったけど、でも今は本当のことだけしか言いたくないから……」

宙斗 「…………」

お姉ちゃん……。

宙斗 「じいちゃんがいたときは、しずねぇの方が俺よりも高かったよね」

しずく 「宙斗より背が小さいときが、ほんの少しでいいから欲しかったな」

宙斗 「たしかにそんな時代があっても良かったなぁ」

宙斗 「俺だって女の子よりも小さいのは気になっちゃうし」

しずく 「……うふふ。また女の子って言ってくれた」

宙斗 「俺にとって、しずねぇは昔から女の子だよ」

しずく 「宙斗……」

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