「あら、こっちにあるやつのほうがいい石ころよ。ここいらでおちてる石のうちでいちばん大きいし、あちこちとがってて強そうだわ」
「(失敬ソーヒナギク卿R-ヒナギク。それはでかすぎやしませんこと?『石ころ』じゃなくて、まるきり『大きい石』ですもの。『いい石ころ』というのは、こういった、きらきらしたものをいいましてよ)」
「そんなちっぽけなのなんて、わたしの石ころの敵じゃないわ! いっしゅんで踏みつぶしてやるわよ!」
「強さは関係ないだろ。それに、石ころはべつの石ころを踏みつぶしたりしないよ。そんなことより僕の石ころを見てくれよ。カッコいいだろ」
「ウィ、ムシュー」
「ばーか! X-776、あんたのもってるのは、さびたネジよ! 石ころじゃないわ! さびて茶色くなった、でっかいネジだわ!」
「ウィ、ムシュー!」
「いいえ! いくら先生が『自分で考えろ』と言ってても、そのネジを石ころとみとめることなんてありえないわ!」
「いいから、僕の石ころ見ろよ! なあ、見ればすぐに良さがわかるから!」
「ふん、だ! なによ、そんなじゃり玉!」