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各国家における星辰奏者の傾向

各国家における星辰奏者の傾向

軍事帝国アドラー

星辰奏者エスペラント技術の発祥国であるためか、人間兵器としての完成度は他の追随を許さない。宿す星光の出力、身体面と精神面での安定性、武装とのマッチングなどなど……蓄積されたデータから、全体的に他国より一歩優れた星辰奏者エスペラントを産出している。

万能型から特化型まで数多くの人材が取り揃っているものの、国が持つ傾向としては如何な戦地であろうと対応可能な、主に隙のない能力が好まれる。兵器に求められる要素は一も二もなく安定性、というのが軍事帝国たるアドラーの結論なのだろう。

軍内での待遇も良く、後の出世は実力と功績次第。順調に階級を上げていくか、役立たずとして使い潰されるかは以後の働きにかかっている。

他二国の星辰奏者エスペラントがそれぞれ尖った特徴を有するに至った理由の一つは、この磐石さを打ち破るためでもあった。

カンタベリー聖教国

聖騎士パラディン、すなわち国教の御旗たる守護騎士という側面を持つためか純粋な実力以外に力自体への権威付けが各人に求められる。

大型化した武装はその証明であり、火力が高く見栄えが良い星辰光アステリズムを持つ者は衆生にとって受けがいいという理由から、戦闘能力以上に評価される傾向にある。

しかし、そういった火力偏重主義の代償として継戦能力に難があるという弱点も。また、取り回しの難しい大型武装を標準装備としていることから、機動力を欠く聖騎士パラディンは多い。

特権階級として地位が約束されるため、待遇の良さは三国随一。星辰奏者エスペラントであればただそれだけで、一定以上の扱いが約束されるのは間違いない。

アンタルヤ商業連合国

政敵を秘密裏に葬りたい場合は暗殺特化の星辰奏者エスペラントが。家族や自分の安全を得たい場合は護衛特化の星辰奏者エスペラントが。直接的に矛を交える場合は戦争特化の星辰奏者エスペラントが……という風に、特化型の星辰奏者エスペラントを多く擁するのがアンタルヤの特徴である。

良くも悪くも金銭次第で一定の戦力を確保できる国風のため、限定的な状況に先鋭化した存在ほど重宝される傾向が強い。

状況次第で無類の強さを誇る反面、得意分野から外れた途端思いがけぬ脆さを露呈するなど、極端な性質を有している。

また、莫大ながらも対価次第で強化施術を受けられる唯一の国家であり、どの勢力にも帰属しない能力者を生む一方、氏族への借りで強制的に星光を宿されては私兵と化す者もいるなどと個人間で落差が激しい。

野心を胸に成り上がるも、道具として磨耗し果てるも、自由気ままに流離うも、あらゆる未来が自己責任。器量によって明暗分かれていくのである。