ホムンクルスとは、錬金術によって生み出された、人工生命を指す。
歴史上初めてホムンクルスの生成に成功した記録は、16世紀ヨーロッパの医師、ホーエンハイムによるものである。
記録によるとホーエンハイムは、蒸留器に人間の精液を入れて40日密閉し腐敗させ、透明で人間の形をした物体を精錬した。これに毎日人間の血液を与え、馬の胎内と同温度で保温し、40週間保存したところ、意思と知識を持つ、人間ができたのだという。ただし、体格は人間に比してずっと小さく、フラスコ内でしか生存できなかったようだ。
近代魔術の父ともいえるアレイスタ・クロウリーは、赤子の体内に霊を導き入れて創造する方式で、ホムンクルスの生成に成功したといわれている。しかしこれは、肉体の生成においては母胎の機能をそのまま流用したものであり、人工的な生命としては、いささか議論の余地を残すといえるだろう。
20世紀の後半に物議をかもした試験管ベビー問題で、『医学が生み出してしまったホムンクルスである』、といった非難があったことは、記憶に新しい。
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